単独著書
『金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿』
2021年10月、講談社
私が、本書の主人公の佐々木清隆氏に会ったのは2006年のライブドア、村上ファンド事件のときでした。以来15年間、東芝の粉飾決算、村上世彰氏への再度の強制調査など大きな経済事件が起きるたびに顔を合わせました。もともとは東大法学部を卒業し、官庁の中の官庁である大蔵省に入省した方ですが、キャリア官僚にしては珍しく金融検査部や証券監視委事務局など〝事件畑〟を歩みます。佐々木氏が退官間際「自分ほど事件にかかわった人はいない」と漏らすのを聞いて、「それでは」と彼へのインタビューをもとに当時の事件の関係者にあたりなおしてまとめました。
取り上げた事件は上記のほか、クレディ・スイスの損失隠蔽商品、カネボウやオリンパスの粉飾事件、年金が消えたAIJ投資顧問、仮想通貨のコインチェックなどです。
『東芝の悲劇』
2017年9月、幻冬舎
粉飾決算、高値掴みした米原発メーカーのウェスチングハウスの倒産、ついには虎の子の半導体メモリー部門(キオクシア)の売却――。名門企業の東芝はなぜ崩壊していったのか。20年にも及ぶ私の取材から浮き彫りになったのは、歴代トップの名誉欲や虚栄心、保身、責任転嫁、そして社内における権力闘争が会社を破滅させていったことでした。この間の歴代4社長は「模倣の西室、無能の岡村、野望の西田、無謀の佐々木」と後に言われるようになります。東芝の凋落と崩壊は、トップに人材を得なかったためでした。東芝で起きたことはまさに人災でした。
「怪物と化していくトップを穏和な社員たちは止められなかったのか。事程左様に独裁者の野心と規律の両立は難しい」(経営競争基盤取締役マネージングディレクター・塩野誠、FACTA2017年11月号)、「東芝の末路は日本人として限りなく悲しい」(国際政治学者・三浦瑠麗、読売新聞2017年11月26日)。
『メルトダウン』と並ぶ著者のロングセラーとなっています。2018年8月、幻冬舎文庫に収録されています。
『ジャーナリズムの現場から』
2014年8月、講談社現代新書
本書を編んだきっかけは、原発事故が起きたあのときの記者会見場で抱いた違和感でした。つめかけた記者たちはいっせいにパソコンのキーボードをたたき出し、まるで算盤塾のよう。みんなうつむいてキーをたたき、登壇者に向き合わない。正確なメモを作ることに専念し、聞くべきことを聞けないのではないか――。
そこで編著者の私が第一線のジャーナリスト、ノンフィクション作家10人にそれぞれのプロフェッショナルの流儀を聞く。そんな趣向でまとめました。登場した10人は角幡唯介、高橋篤史、長谷川幸洋、安田浩一、大治朋子、坂上遼、杉山春、栗原俊雄、大塚将司、堀川惠子の各氏。「人選のセンスの良さに思わず手に取った」(土屋敦、HONZ2014年9月23日)。マスコミを志望する学生や職業ジャーナリストむけの一冊。
現在は電子書籍でお求めできます。
『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』
2012年1月、講談社
原子力発電所が相次いで爆発したというのに、東京電力が説明用に差し出したのは、広報部の部付部長らサラリーマンの中間管理職でした。責任者は出てこない。下僚の彼らはテレビカメラにすくんでいる。同じような光景を経済産業省や原子力安全・保安院などで目にしました。あのとき私が見たのは日本のベスト&ブライテストたちのあまりにも無残な姿。日本の最高学府を出て政府や電力会社で働く男たちは保身と責任転嫁に終始し、それは戦犯としての訴追を免れようと部下に責任を押し付けて逃げ隠れた戦時の指導者たちと同じでした。
「本書を読み、自分の不明を恥じ、ついで慄然とさせられた」(青山学院大教授・福岡伸一、朝日新聞2012年3月11日)、「いまや日本の頭の部分がメルトダウンしている」(評論家・佐高信、週刊現代2012年4月28日号)。
第34回講談社ノンフィクション賞受賞作。選考委員からは「日本の『ベスト&ブライテスト』が誕生した」(野村進)、「調査報道の真骨頂」(重松清)との評価をいただきました。韓国や中国でも翻訳版が出版されています。大幅に加筆したうえで2013年2月に講談社文庫に収録され、著者最大のロングセラーになっています。
『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』
2010年4月、朝日新聞出版
戦後、最大の倒産と言われた日本航空(JAL)の倒産劇。決して潰れないと思われたナショナル・フラッグ・キャリアはいかにして会社更生法の適用の申請に追い込まれたのか。JALの放漫経営ぶりに加え、民主党政権に交代後、紆余曲折を経て経営破綻に至る道筋を航空会社、首相官邸、財務省、金融機関、さらには前原誠司国交相に選ばれたタスクフォースなど多くの関係者の証言をもとに描きます。「著者はかつて、ライブドア事件を追ったノンフィクションを上梓した。それは抜群に面白かったが、本書もそれに劣らぬ力作といえよう」(榧野信治論説副委員長、読売新聞、2010年6月13日)。JAL破綻の詳細を知るのに適しています。
現在は電子書籍でお求めできます。
『ヒルズ黙示録・最終章』
2006年11月、朝日新書
帯にあるように「どいつがホントのワルなのか」。起訴されたライブドアの堀江貴文の裁判を傍聴して見えてきた事件の真相を描きます。正義の味方の東京地検特捜部が実は、あらかじめ事件のストーリーを決め、それに適した証拠を集めて筋を補強する手法をとっていたことを明らかにしています。社会部の検察担当記者では決して書けなかったでしょう。検察の捜査手法を批判した最初期のノンフィクションです。
『ヒルズ黙示録・検証ライブドア』
2006年4月、朝日新聞社
2004年~05年にかけて、まるで東京・六本木ヒルズが日本経済を動かしているのではないかと錯覚するような出来事が立て続けに起きました。プロ野球参入、ニッポン放送やTBSへの敵対的買収、そして〝刺客〟が話題になった小泉選挙。そんな時代の寵児たちは2006年に一斉に逮捕。彼らのゲームは強制終了となります。
「最初の1~2ページを読んだだけで、私は六本木ヒルズの異形の世界に引き込まれてしまった」(作家・黒木亮、週刊ダイヤモンド2006年7月29日号)、「文句なく一気に読ませるノンフィクションである」(ノンフィクション作家・岩瀬達哉、週刊ポスト2006年5月19日号)と各誌に評されました。私のノンフィクションデビュー作であり、講談社ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞の候補作となりました。
加筆補正して2008年9月に朝日文庫で再発。現在は電子書籍でお買い求めできます。
共著・編著
「ゴーンショック 日産カルロス・ゴーン事件の真相」文庫版
2021年8月、幻冬舎
「ゴーンショック 日産カルロス・ゴーン事件の真相」ハードカバー
2020年5月、幻冬舎
「プロメテウスの罠 7」ハードカバー
2014年8月、学研
「限界にっぽん 悲鳴をあげる雇用と経済」ソフトカバー
2014年3月、岩波書店









